どうして旅するフリースクールなのか

休みは月に一度、毎日16時間労働。
過酷な日々を過ごしていたあの頃。
家には寝るために帰るだけ。
家族に会いたくてもほとんど会えない日々が続いていた。
特に気がかりだったのは、下の娘(当時1歳)を産んでからずっと体調のよくない妻のこと。
妻は、娘の授乳で大変なのに、甘えてくる息子(当時5歳)に手を焼いていた。
甘える息子に対して、「お兄ちゃんなんだから」と厳しい態度で接し、妻はそんな自分にも嫌気が差していたようだった。
早く帰って家族を助けたい、だけど仕事は全く終わらないという状況に、ぼくは葛藤していた。

妻の話を聞きたいと思いながらも、メールで会話をするのが精一杯の多忙な日々。
当時の自分は海外も含めて出張も多く、家に全く帰ることができない日々もあった。

そんな、香港での出張先で妻からもらったメール。

「イライラが募りすぎて息子を突き飛ばしてしまった。もう、この暮らしは限界」

このメールに人生最大の危機感をおぼえ、香港から帰ると、即、上司に辞職の意を伝えた。
なりふり構っていられる状況ではなかった。

自分の子育てに危機感を覚えていた妻。
彼女の希望で、子育てや教育に対して熱意をもっている園長が運営する幼稚園に通うため、当時住んでいた函館から札幌に引っ越した。
自分もしばらくは新しい仕事を始めることなく、念願だった、家族との時間を過ごした。

その幼稚園は、「家族で通える幼稚園」というとてもユニークなコンセプトで、ぼくら家族は毎日を、その幼稚園で過ごすことになった。
当時、息子は年長、娘は2歳だった。

当時の息子は、それまでの函館でのストレスを晴らすかのように、その幼稚園で大暴れしていた。
息子は自分よりも年下の子を次々に泣かせて、妻がそのたびに泣いた子やその子の親に謝るというつらい日々が続いた。

そんな状況を、園長に相談した。
園長は、こんなことを伝えてくれた。

子どもの不安定さの原因はいくつかある。
母親自身の小さい頃の親との関係、今の自分の子どもへの関わり方、そして自身のパートナーや家族など身近な人に対する関わり、全てが子どもの気持ちに影響すると。

悪い子がいるわけではない、見つめるべきは、自分のあり方だという園長。

そんなアドバイスを元に、ぼくら夫婦は話をする日々が続いた。
それまで忙しくて、ほとんどお互いの状況を知ることができず、お互いを責め合っていた。
初めて長時間にわたって、お互いがどのような思いを持っていたのか、価値観のすれ違いなどをすり合わせていった。

話し合いを重ねる中で、ぼくらの子どもに対する態度も少しずつ柔軟になっていって、息子も少しずつ落ち着きを取り戻して行った。

翌年の4月、息子は小学校に入学、1年生になって学校に日々が始まった。
しかし、1週間ほど学校に行ったところで、

「もう、学校行かない」

と。

息子の意思を尊重して、無理に行かせることはしなかったが、大変なのは担任の先生への説明。

学校へ行かせることは当たり前、親として、学校に行かないという子どもの意思を尊重するなどありえないこと、そんな常識に反して、「息子の意思を尊重して休ませたい」と先生に説明するのは大変だった。
けれども妻と息子と一緒に学校に行って、丁寧に説明することで、先生に理解してもらうことができた。

こうして始まった、学校へ行かない息子の日々。

だけど、学校へ行かないのに、特に何をするわけでもなく家の中で寝っ転がりながら

「あーあ、つまんないな」

という息子にぼくら夫婦が激怒したこともあった。

そんなこともありながら、家族でそれぞれが毎日をどのように過ごしていくかを模索する日々が続いた。

そんな時に思い出したのは、4年ほど前に家族でたまたま訪れた、タイの山奥にあるジャングルファーム。
そこでは、山からとってきた木や竹で作った家に住みながら、太陽光で発電する電気と山の湧き水を使いながら、ゆっくりのんびりと農作業をする日々を過ごしていた。

そんな場所で日々を過ごすことができたら、学校では得られないような貴重な学びができるのではないか。

そんな思いがわき起こり、家族でタイのジャングル長期滞在を計画した。

だけど、当時の娘はまだオムツのとれていない2歳。
そんな幼子を連れてジャングル滞在なんて、大丈夫なのだろうか…

ビビりながらも、人生でこんなチャンスはめったにないだろうからと、家族で75日間のタイジャングル長期滞在を決行した。

行ってみると、娘はまず、ジャングルの中のトイレに興味を示し、自ら排泄する喜びを得たのか、一瞬でオムツが外れ、自分でトイレに行けるようになってしまった。

息子は、畑の水撒きなど、ファームの仕事を積極的に手伝っていた。

ジャングルという、生きること自体が暮らしそのものであるような生活で、ぼくたち家族の雰囲気は少しずつ変わっていった。
子どもたちは、ジャングルの中で泥だらけになりながら毎日遊ぶなど、次第に逞しくなっていった。

そんなタイへの滞在。
初めて行ってから、結局5年連続で、そのタイのジャングルに家族で長期滞在している。
今でも学校に行っていない息子だけれど、そのジャングルで水が出ないトラブルが発生した時、水タンク内の水の残量を竹で測定し、ファームのオーナーさんにその状況を英語で報告するなど、「生きる力」をつけている息子。

正直今は、学校に行っていないことを心配していない。

この状況を見て気がついた。

海外への長期滞在は、まさに「生きる力」を身につけるための最高の教育だ!

こんな経験を通して、自分は今、こうして生きる力を身につけられる環境を、タイだけでなく世界各国に開拓していこうと思っている。

学校に行かないこと、それは困ったことではありません。
むしろ、海外に長期滞在して「生きる力」を身につけるチャンスです。

もし、この考えにワクワクしていただけるなら、一緒に世界へ学びの環境を開拓しに行きませんか?

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